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渡良瀬遊水地の夕日/©Eugene Cheah
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地上のすべての生きものに欠かせない湿地
ラムサール条約と
​渡良瀬遊水地
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雪の飛翔(ハイイロチュウヒ)/©石川和広
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大沼の夜明け/©堀内洋助
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ハイイロチュウヒ飛翔/©堀内洋助
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チョウジソウ群落/©堀内洋助
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​ヤナギ・セイタカアワダチソウ除去作戦
持続可能な湿地利用をめざして

ラムサール条約は、昭和49(1971)年イラン・ラムサールで採択された湿地保全のための国際条約です。地上のすべての生きものと人間の健康な暮らしに欠くことのできない湿地(海辺・湖・川・水田など=水のあるところ)を守り、賢明(=持続可能)に利用することをめざしています。

条約締約国は、国内の「国際的に重要な湿地」をラムサール条約湿地として登録し保全しなければなりません。日本は昭和55(1980)年に条約加盟と同時に釧路湿原を登録して以来追加登録を重ね、平成24(2012)年7月3日、コウノトリの野生復帰を実現した円山(まるやま)川下流域・周辺水田など8カ所の湿地とともに渡良瀬遊水地(2,861ヘクタール)がラムサール条約湿地に登録されました。

令和7(2025)年10月現在、世界のラムサール条約湿地は2,543所、日本のラムサール条約湿地は54所です。

希少な絶滅危惧種が多く生息

渡良瀬遊水地は、本州以南では最大のヨシ原を擁する低層湿原です。トネハナヤスリをはじめとする絶滅危惧種の植物が生育し、また夏の終わりには南の国に戻るツバメが10万羽以上も集結し、チュウヒなどワシタカ類の越冬地としては日本最大級です。こうした豊かな環境は、長い間ラムサール条約湿地に登録し保全することが望まれていました。

平成22(2010)年3月、渡良瀬遊水地を管理する国土交通省が、乾燥化しつつある遊水地を掘削して水面を回復させ、同時に治水容量の向上も図る「渡良瀬遊水地湿地保全・再生基本計画」を策定したことで、条約登録をめざす動きが一気に加速しました。

平成22(2010)年から平成23(2011)年にかけて、環境省と国土交通省による遊水地の条約湿地登録に関する協議が行われ、その結果、従来の河川区域としての土地利用規制に加えて、平成24(2012)年6月から狩猟を禁止する普通地区の国指定鳥獣保護区に指定されたことにより、渡良瀬遊水地はラムサール条約湿地に登録されたのです。

治水と湿地保全・再生の両立と賢明な利用

絶滅危惧種など希少な動植物が生息する一方、水害の多い土地として洪水対策が悲願であり、「自然保護」と「治水事業」の相対する思いがありました。しかし、平成22(2010)年から第2調節池で国土交通省による湿地保全・再生基本計画に基づく掘削による湿地再生事業が進められて治水と保全の両立が図られ、平成24(2012)年7月に条約湿地登録の運びとなりました。

登録後の渡良瀬遊水地では、第2調節池で湿地保全・再生基本計画に基づく掘削による湿地再生事業が進められ、そこをエコミュージアムとして賢明に利用するための計画も策定されています。

また、掘削した場所で良好なヨシ原を再生させるため、平成26(2014)年度からは自治体、企業、市民が連携して、掘削後に繁茂するヤナギやセイタカアワダチソウを除去する作業を行っており、令和7(2025)年9月までに累計約21,000人の方が作業に参加しています。

このように、国土交通省、環境省、地元4県4市2町、自然保護団体、治水団体、遊水池を愛し利用している団体や企業・市民の方々が幅広く協力することによって、渡良瀬遊水地においても、ラムサール条約の理想とする湿地の賢明な利用が実現できるのです。

コウノトリ・トキが舞う渡良瀬遊水地へ

ラムサール条約湿地登録が実現した平成24(2012)年より、小山市では渡良瀬遊水地でのコウノトリ・トキの野生復帰をめざしています。その一つが遊水地周辺の水田の生物相を豊かにするため、無農薬・無化学肥料の稲作をはじめ、冬季に田んぼに水を張る「ふゆみずたんぼ」農法です。また平成27(2015)年からは、麦の収穫後から夏の間、田んぼにコメなどを作付けをせずに水を張る「なつみずたんぼ」の取り組みをはじめました。「なつみずたんぼ」は鳥たちの採餌・休息の場であり、コウノトリの餌となる生物が増やすことができます。

こうした取り組みの結果、平成30(2018)年には第2調節池の小山市側に設置した人工巣塔に、野田市で放鳥されたコウノトリのオス「ひかる」が定着しました。平成32(2020)年には、鳴門で生まれて渡良瀬遊水地に飛来した「歌」とペアとなり2羽のヒナが生まれ、野生絶滅後に東日本初となる繁殖が実現しました。

その年の秋に「歌」は骨折後亡くなりましたが、翌年には「ひかる」が野田市で放鳥されたメスの「レイ」とペアになり、令和7(2025)年まで毎年ヒナが生まれ、渡良瀬遊水地でのコウノトリの繁殖が続いています。

また、第1調節池、第3調節池にも人工巣塔が設置されており、こちらでも将来的なコウノトリの繁殖が期待されています。

さらには、令和8(2026)年には、石川県で本州初となるトキの放鳥が開始されますので、近い将来、渡良瀬遊水地にトキが飛来し、定着・繁殖することが期待されています。渡良瀬遊水地でコウノトリとトキが舞う姿が見られるようになるのも夢ではなくなることでしょう。

CEJ_1736★コウノトリ夫婦とヒナ.JPG
CEJ_1736★コウノトリ夫婦とヒナ.JPG
コウノトリ夫婦とヒナ/©Eugene Cheah
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